間欠性跛行の原因と鑑別法【閉塞性動脈硬化症or腰部脊柱管狭窄症?】

間欠性跛行

「少し歩くと足が痛くなり、しびれて歩けなくなる」そして「歩けなくなったら少し休むと、再び歩けるようになる」という間欠性跛行の症状に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

間欠性跛行になると足が痛くなるのですが、その辛さの原因が足にあるとは限りません。足の筋肉や神経が悪いのではなく、足から離れたところの背骨や、足の血管の動脈が詰まることで、間欠性跛行の症状があらわれると考えられています。

間欠性跛行という症状は同じでも、原因によって治療法が全く異なるので、さまざまな検査を行うことで正確に原因を判断することが重要になります。

50代以上の方に多い、長い距離が歩けず辛くなる間欠性跛行の原因や鑑別法、検査法をご紹介します。
syujyutsu 脊柱菅狭窄症になると、足のシビレや痛みで、長い時間歩くことができないことがありますよね。 多くの方は、いくつかの医療機関を受診した後、名医と評判の整形外科に通い、投薬、ブロック注射をやってもらうのではないでしょうか。
しかし、実際に診察してもらえばわかりますが、投薬で痛みが全てきえるわけではないですよね。ほんのちょっとの「この痛みなんとかしたい」ってことありませんか?
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間欠性跛行の症状があるとき、考えられる病気は3つです。

1.腰部脊柱管狭窄症
2.閉塞性動脈硬化症
3.パージャー病

まずは3つの病気について簡単に紹介します。

腰部脊柱管狭窄症とは

加齢、労働、あるいは背骨の病気による影響で変形した椎間板と、背骨や椎間関節から突出した骨などにより、神経が圧迫されます。

脊柱管は背骨、椎間板、関節、黄色靱帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルです。年をとると背骨が変形したり、椎間板が膨らんだり、黄色靱帯が厚くなって神経の通る脊柱管を狭くなって(狭窄)、それによって神経が圧迫を受け、神経の血流が低下して脊柱管狭窄症が発症します。出典元:日本整形外科学会 腰部脊柱管狭窄症

閉塞性動脈硬化症とは

主に足(下肢)の動脈に動脈硬化が起こり、狭くなるか詰まるかして、足を流れる血液が不足し、それによって痛みを伴う歩行障害が起きる血管病です。重症の患者さんは、足を切断しなければならない場合もありますから、あなどれません。 出典元:国立循環器病研究センター 足の血管病

生活習慣病から動脈硬化になり,足の血管が狭くなったり詰まってしまうことにより,足を動かすのに必要な酸素が十分に運べなくなって起こる病気です. 動脈硬化は,足だけでなく全身の血管で起こります.そのため,進行すると血管の壁が厚くなって,血管の中が狭くなったり,血液の固まりが詰まって,脳梗塞や心筋梗塞なども発症しやすくなります.出典元:東京医科歯科大学 血管外科

動脈硬化は全身で起こる可能性があります。脳の動脈硬化は「脳梗塞」、心臓の動脈硬化は「心筋梗塞」「狭心症」といいます。足の動脈に動脈硬化がおきて血流障害がおこることを閉塞性動脈硬化症といいます。閉塞性動脈硬化症は50歳以上の男性に多い病気です。

パージャー病とは

たばこを吸う20才代から40才代の男性(女性は少ない)にみられる代表的な手足の動脈の病気です.しかもだんだんと血管がつまってくるために,ほっておけば足が腐ってしまう病気です.別名として特発性脱疽とか,閉塞性血栓血管炎とか言われることがあります.出典元:東京医科歯科大学 血管外科

間欠性跛行をともなうバージャー病は比較的簡単に見分けられるので、ここで主に「腰部脊柱管狭窄症」と「閉塞性動脈硬化症」の見極め方を紹介します。

腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症の鑑別検査

間欠性跛行の症状の場合には、「腰部脊柱管狭窄症」または「閉塞性動脈硬化症」の可能性が疑われます。

その際に行われるのが血圧検査です。上腕と足首の血圧比のABIデータより、足の血管中の動脈硬化を調べます。動脈硬化がおこっていれば「閉塞性動脈硬化症」が疑われ、動脈硬化がなく正常であれば「腰部脊柱管狭窄症」が疑われます。

まれに、閉塞性動脈硬化症と腰部脊柱管狭窄症の両方を合併している方もいます。

腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症が疑われたら、それぞれの病気についてさらに詳しい検査をおこないます。(閉塞性動脈硬化症なら循環器科、腰部脊柱管狭窄症なら整形外科で検査をします)

ABIとは:足関節上腕血圧比(上腕と足首の血圧を測り、足首の最高血圧を上腕の最高血圧で割った値)

・上腕と足首の血圧比のABIが0.9以下だと足の血管に狭窄があるので閉塞性動脈硬化症を疑います。値が0.9より高ければ、血管は正常なので腰部脊柱管狭窄症を疑います。数値が低いほど血管の狭窄が重症です。

・腰部脊柱管狭窄症は前かがみになると、足に痛みやしびれが出なくなります。一方、閉塞性動脈硬化症だと前かがみでも症状がでるという違いもあります。

閉塞性動脈硬化症の検査

間欠性跛行の症状がありABI検査で閉塞性動脈硬化症が疑われると、さらに詳しい検査をおこないます。具体的には次のような検査です。

足関節上腕血圧比(ABI)
ABIが1.0以上の場合は正常ですが、0.9以下であれば、足の動脈に病変があると断定できます。この数値が低いほど重症です。

歩行検査
トレッドミルを利用し歩行状態を観察します。

出典元:東京医科歯科大学 血管外科

必要に応じて造影CT検査、MRI検査、カテーテルを使った血管造影検査などを行います。

腰部脊柱管狭窄症の検査

間欠性跛行の症状がありABI検査で腰部脊柱管狭窄症が疑われると、さらに詳しい検査を行います。検査としては次のようなものがあります。

MRI検査
・脊髄の状態を画像で判断します。

X線検査

血液検査

問診
・糖尿病と診断されたことがあるか否か(糖尿病の場合は閉塞性動脈硬化症の可能性あり)
・痛みやしびれの状態の聞き取り

視診
・立った状態の背骨をチェック

触診
背骨を触って痛みや骨配列をチェック

筋力テスト
医師が患者の脚に力を加え、患者はその力に抵抗するよう力をいれる。その抵抗力をみて筋肉を神経がコントロールできているかテスト

知覚触覚テスト
・皮膚を軽く触り感覚や痛みをテスト

膝蓋腱反射(しつがいけんはんしゃ)
・ゴム製の小さなハンマーで膝のお皿の下をたたく

アキレス腱反射
・アキレス腱のうしろをハンマーで軽くたたく

下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)
・仰向けになり膝をのばした状態で脚を持ち上げて痛みがでるかテスト

大腿神経伸展テスト(FNSテスト)
・うつぶせの状態で膝を曲げ、お尻を押さえながら太ももを上に引き上げ痛みが出るかテスト

ケンプテスト
・立った状態の患者の上半身を斜め後ろの回転させ痛みやしびれを観察

これらの検査で、腰部脊柱管狭窄症を判断します。

腰部脊柱管狭窄症診断サポートツール

一般の病院で腰部脊柱管狭窄症の患者を簡単に判別するためのツールが公表されています。合計点数が7点以上だと腰部脊柱管狭窄症の疑いが高いとされています。
これを使えば個人でも腰部脊柱管狭窄症の判別ができるかも?!

腰部脊柱管狭窄症サポートツール

このような腰部脊柱管狭窄症の特徴が、診断サポートツールとして公表されています(下図)。該当するものをチェックし、わりあてられたスコアを合計し(マイナスの数値は減算)、7点以上の場合は、腰部脊柱管狭窄症である可能性が高いとされています。この中で、ABI(ankle brachial index)とは、足関節/上腕血圧の比です。閉塞性動脈硬化症の患者さまではABIが0・9未満になります。ATRとはアキレス腱反射のことで、馬尾型の患者さまでは両側性に低下または消失します。また、SLRテストとは仰向けの状態で膝を伸ばしたまま下肢を挙上するテストで、痛みのために挙上が困難な場合は腰部脊柱管狭窄症よりも椎間板ヘルニアが疑われます。
出典元:JCHO東京新宿メディカルセンター

 間欠性跛行の原因 まとめ

  • 間欠性跛行の原因として考えられるのは、「腰部脊柱管狭窄症」か「閉塞性動脈硬化症」です。
  • 腰部脊柱管狭窄症か閉塞性動脈硬化症の見極めは、専門医が複数の検査結果で判断します。
  • 腰部脊柱管狭窄症は整形外科、閉塞性動脈硬化症は循環器科で治療します。
  • 腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症の両方を患っている場合もあります。
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