XLIF手術で死亡事故|脊柱管狭窄症の手術のリスク
船橋整形外科病院で腰部脊柱管狭窄症の手術を受けた女性が、手術中の医療事故で3日後に死亡したというニュースがありました。事故があったのは2016年1月のことです。
脊柱管狭窄症の手術での死亡事故のニュースを知った時、脊椎の専門医でない医師が手術して事故を起こしたのかな?と思いましたが、そうでもないようです。調べてみると、死亡事故をおこした脊椎脊髄外科指導医が6名もいる千葉県最大の脊椎病院です。千葉大医学部付属病院より指導医の数が多いです。(指導医が多ければよいというわけではありませんが。。)
どんな手術で医療事故が起こったかというと「XLIF」(エックスリフ)と呼ばれる、2013年から始まった比較的新しい手術方法のようです。
内容を簡単に説明すると、腰部脊柱管狭窄症の固定術を行なう際、脇腹から椎骨へ侵入し、椎間板を治し、スクリューで椎骨を固定するという方法です。従来の背中からの手術に比べ筋肉の傷つける部分が少ないので術後の回復が早いというメリットがあります。一方、デメリットとしては、脇腹から椎骨までの間の臓器を傷つける可能性があることです。
今回の事故はデメリットとされていたことが表面化し、誤って大腸を傷つけ死亡事故へとつながったとのことです。
腰部脊柱管狭窄症の固定術をする場合、今回事故があった「XLIF」(エックスリフ)だと入院期間が約2週間、従来の固定術だと3週間だそうです。
手術の安全性が確保されるまでは、従来型の固定術の方がいいような気がします。わざわざ、キケンを犯してまで最新の手術法にする必要はないのかな。。
DPCに参加している病院の経営者の視点からみると、患者の入院期間の短い「XLIF」は魅力的なのかもしれませんが。。
(成果に対して報酬が支払われるDPCだと、入院期間が2週間でも3週間でももらえるお金は一緒なので、入院期間が短い方が儲かる)
千葉県船橋市の船橋整形外科病院(大内純太郎院長)で1月、男性医師が50代の女性患者の腰部を手術した際、誤って大腸を傷つけ、女性が3日後に死亡していたことが17日、同病院への取材で分かった。病院側は手術中のミスを認め、院内の事故調査委員会を設置して原因を詳しく調べている。
出典元:産経ニュース 2016.5.17 12:05
日本でいち早くXLIF(エックスリフ)をとりいれた慶応大学医学部整形外科